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遺言書がない場合の相続手続き―遺産分割―

遺言書がない場合、共同相続人全員で、遺産の分割についての話し合いを行うことになります。この話し合いを遺産分割協議といい、その前提として、①相続人の確定②相続財産の確定、および③各相続人の具体的相続分の確定作業が必要となります。


STEP3 各相続人の具体的相続分を確定する

各相続人の具体的相続分を確定するには、特別受益や寄与分、遺留分を考慮する必要があります。


1.特別受益と寄与分

法定相続分は、被相続人と相続人との間の事情や関係性を一切考慮せず、一律に定められたものです。そのため、共同相続人のなかに、被相続人から遺贈または生前に事業の開業資金や婚礼資金・住宅資金等の援助を受けた者や、あるいは被相続人を献身的に介護した者、家業を手伝い財産形成に貢献した者等がいる場合、こうした事情を斟酌せずに法定相続分で一律に遺産分割がなされると、相続人間で不平等が生じ、著しく不公平な結果を招来しかねません。そこで法は、このような不平等・不公平を是正する措置として、特別受益及び寄与分という制度を設けています。

(1)特別受益

共同相続人のなかに、遺贈や生前贈与により被相続人から特別の利益(特別受益)を受けたもの(特別受益者)がいる場合には、相続人間の公平を担保するため、下記の方法により、各人の法定相続分が修正されます。
(詳細についてはこちら)

特別受益者がいる場合の具体的相続分の算出方法

①相続開始時の財産(遺贈も含む)の価格に特別受益に該当する生前贈与の価格を加算します。これを特別受益の持戻しといいます。
②その合計額が遺産分割をする上での基礎となる相続財産(みなし相続財産)となります。
③みなし相続財産に法定相続分割合を乗じた額が、特別受益者を除く相続人が実際に受けるべき相続分となります。 ④特別受益者が実際に受けるべき相続分は、③で算出された額から、特別受益分を控除した残額となります。
※生前贈与を受けた財産の価格は、相続開始時を基準に評価します。(例えば2000万円で購入した土地が物価の変動で相続時には5000万円と評価されれば、持戻しの額は5000万円となります)


特別受益の計算方法

(2)寄与分

寄与分制度とは、相続人のなかに、被相続人の家業である農業や自営業などに従事し、財産の維持または増加に特別の貢献をした者がいる場合に、その貢献度を金銭的に換算し、相続財産の一部として評価する制度のことをいいます。
(詳細についてはこちら)

寄与分が認められるケース

①被相続人の事業に関する労務の提供
家業である農業や商工業に10年以上従事し、ほとんど報酬ももらわずに財産の維持または増加に寄与した場合

②被相続人の事業に関する財産の給付
被相続人の事業に資金を提供し、それによって倒産をまぬがれて事業の維持・発展に寄与した場合

③被相続人の療養看護
長期療養中の被相続人の看護に努め、その結果看護費用の支出を免れ財産が維持された場合

寄与者がいる場合の具体的相続分の算定

寄与分の計算方法

2.遺留分

被相続人は生前あるいは死後においても、自己の所有する財産を自由に処分できるのが私有財産制度の原則です。もっとも、法が残された遺族の生活保障を主眼として法定相続分を規定した趣旨を完全に無視することはできず、また財産維持や増加に貢献した者の期待を保護する必要からも、相続財産の一定部分については、相続人が取得できる旨法律上保障されていますので、被相続人であってもこの部分については自由に処分することが制限されます。これを遺留分制度といいます。 (詳細についてはこちら)

遺留分遺留分権利者

被相続人がした贈与や遺贈等が遺留分を侵害する場合には、兄弟姉妹を除く法定相続人(子及びその代襲相続人、直系尊属並びに配偶者)は、自己の遺留分を侵害する限度で、その効力を失わせることができる遺留分減殺請求権を有します。 各遺留分権利者の遺留分割合は右記のようになります。


遺留分権利者
①子・その代襲相続人 ②直系尊属(両親・祖父母等) ③配偶者
※相続欠格・排除などにより相続権を失った者、相続を放棄した者は遺留分を有しません。

遺留分減殺請求の方法

遺留分減殺請求の方法は特に決まりはなく、遺留分を侵害している相続人や受遺者に対して遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をすれば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はありません。書面によることも要しませんが、後日の証拠のために配達証明付内容証明郵便によるのが一般的です。  
この意思表示をすれば減殺の効力は発生し、遺留分の限度で侵害をしている相続人等の権利は効力を失います。  
侵害している相続人や受遺者が請求に応じない場合には通常の民事訴訟や家事調停を申し立てることになります。

◎減殺の順序
遺留分権利者が特定の財産を選択して減殺請求をすることはできません。減殺の順序は法で定められており、①遺贈→②死因贈与→③贈与の順に減殺されます

遺留分減殺請求権の行使期間

遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ったときから1年以内に行使しないと時効により消滅し、上記の事実を知らないときでも、相続開始時から10年が経過すると消滅します。


STEP4 遺産の分割方法

相続財産の分割方法には次の4つの方法があります。

現物分割 換価分割 代償分割 共  有
現物分割
換価分割
代償分割
共有
それぞれの財産を誰が取得するかを決める方法 相続財産を売却し、その売却代金を相続分に応じて分配する方法 特定の相続人が遺産を全て相続し、他の相続人に相続分に応じた現金を支払う方法 財産を相続人で共有する方法

Case 12 相続財産が自宅不動産のみの場合の分割方法

相続財産が自宅不動産のみの場合の分割方法としては①換価分割、②代償分割が考えられます。いずれの方法を選択するかは、遺産分割後、共同相続人の誰かが当該不動産に居住するつもりがあるか否かで決定されます。  
例えば、被相続人が一人暮らしであった場合で、相続人の誰も、居住の意思がない場合には、当該不動産を売却して、それにより得た金銭を法定相続分に応じて分配する換価分割という方法をとることになります。これに対し、相続人の誰かが、当該不動産に居住する意思がある場合や、相続開始前から被相続人と同居し、以後も居住する意思がある場合には、その者が当該不動産を取得し、それと引き換えに他の相続人には代償金を支払う代償分割によることになります。しかし、代償分割を行うには、ある程度の資力が必要となりますので、居住する意思はあるが代償金を支払う資力がない場合は換価分割によらざるを得なくなります。  
換価分割や代償分割ではどうしても調整がつかないという場合には、分割をせずに共同相続のまま、すなわち共有状態にしておくということも考えられますが、数次相続が発生した場合に権利関係が複雑になったり、いざ売却しようにも共同相続人全員の合意が得られず売却できない、といった後のトラブル発生の原因ともなり得ますので、お勧めはしません(不動産共有化のリスク)。
なお、換価分割の場合、売却に先立ち、相続人全員で相続登記を経由する必要がありますが、共同相続人のうちの一人を代表者として相続登記を申請することも可能です。


不動産共有化のリスク

①共有者の一人に資金が必要となっても、その持ち分だけでは買い手がつかず、また不動産全体を売却したり、大幅に改築する場合には、共有者全員の同意が必要となる。
スムーズに同意が得られれば問題はないが、共有者に判断能力が不十分な者や、行方不明者、未成年者や海外赴任中の者などがいる場合には、手続きが煩雑となり、長期化する危険性がある。

②共有者に相続(いわゆる二次相続)が発生した場合には、さらに権利関係が複雑になる。


③相続税につき現金がない場合には、不動産を物納することも可能ではあるが、共有者間に争いがある不動産については物納できない可能性がある。


その結果、不動産が長期間“塩漬け”となり、大切な財産の価値を著しく毀損しかねない事態が生ずる危険性があります。


STEP5 借金等のマイナス財産がある場合の遺産の相続方法

相続財産に、借金や未払金、保証債務などが含まれている場合の選択肢としては、①単純承認、②相続放棄、③限定承認の3つの方法が考えられます。相続放棄と限定承認は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述の申立を行わなければなりません。


相続方法の選択

①単純承認

 被相続人の権利(プラスの財産)だけでなく、その義務(マイナス財産)もそのまますべて無条件で受け継ぐことをいい、下記の場合には単純承認をしたものとみなされます。
・自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内に相続放棄も限定承認もしなかった場合
・相続人が遺産を処分した場合
・相続人が遺産を隠したり、勝手に使ったり、財産目録にわざと載せなかったりした場合

②相続放棄

被相続人の財産のすべてを放棄し、マイナスの財産だけでなくプラスの財産をも含む一切の財産を相続しない方法をいい、相続放棄をするとその相続人は初めから相続人でなかったことになります。(詳細についてはこちら)


③限定承認

相続人が相続によって得た財産の範囲内で被相続人の債務を弁済することを条件として相続する方法のことで、限定承認を行うと、相続財産の範囲で相続債務を弁済すれば足り、不足した場合であっても相続人の固有の財産から支払う義務はありません。(詳細についてはこちら)


STEP6 遺産分割協議がまとまらない場合

相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合や、協議に応じようとしない相続人がいる場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てることになります。
遺産分割調停は、裁判官と調停委員から構成される調停委員会によって進められ、各相続人から事情を聞いたり、場合によっては妥当な解決策を示して紛争解決へ向けて家庭裁判所が関与するものの、最終的には相続人全員の話し合いによる合意が解決内容となります。この意味で、遺産分割調停は、裁判所という公的な第三者機関を介した話し合いと言えます。相続人全員の合意が成立した場合は、調停調書が作成されます。この調書には確定判決と同一の効力がありますので、これに基づいて調停の内容を強制的に実現することが可能となります。  
他方、合意が成立しなかった場合は、自動的に審判手続きへ移行することになります。


遺産分割調停の申立の手順

 STEP1 遺産分割調停の申立

相続人のなかの1人もしくは数人が他の相続人全員を相手方として、相手方のうちの一人の住所地を管轄する、あるいは相続人が合意で定めた家庭裁判所に申し立てることによって手続きが開始される。 必要書類 ①遺産分割調停の申立書 ②被相続人の戸籍謄本 ③相続人全員の戸籍謄本・住民票 ④遺産目録と当事者目録 ⑤不動産登記簿謄本・遺産に関する書類・固定資産評価証明書


 STEP2 調停期日への出頭

1回期日を知らせる通知が家庭裁判所から届き、通知から1か月後くらいに第1回期日が開かれる。以後一月に一回のペースで期日が開かれる。


 STEP3 調停での話し合い

調停成立:成立した合意が調停調書に記載されると、確定判決と同一の効力を有し、調停の内容を強制的に実現することができる。
調停不成立:遺産分割審判へ移行


■ケースで見る相続■
Case 1 相続人に行方不明者がいる場合   
Case 2 相続人に未成年者がいる場合  
Case 3 相続人に認知症者がいる場合
Case 4 相人に胎児がいる場合
Case 5 相続人以外の者に対する遺贈がある場合
Case 6 相続人に海外赴任中の者がいる場合  
Case 7 相続人が遺産分割前にその相続分を第三者に譲渡した場合
Case 8 死後認知を請求する者がいる場合
Case 9 遺産分割協議で、借金を特定の者が相続するとした場合
Case 10 遺産からの収益がある場合     
Case 11 共同相続人のうち一人が勝手に相続財産を売却した場合
Case 12 相続財産が自宅不動産のみの場合の分割方法
Case 13 内縁の配偶者と相続
Case 14 異母兄弟がいる場合の相続分
Case 15 養子の相続分
Case 16 前妻の子・後妻の連れ子がいる場合の相続分
Case 17 本来相続人であるべき者が相続人でなくなる場合
Case 18 相続人がだれもいない場合の財産の行方
Case 19 同時死亡の場合の相続
Case 20 死後3か月が経過した場合の相続放棄の可否
Case 21 相続財産の処分行為とは?
Case 22 親は子を代理して相続放棄ができるか?
Case 23 相続放棄した兄が再び相続権を主張できるか?
Case 24 親に対する相続放棄と代襲相続
Case 25 相続放棄をする人がいると相続順位はどうなるか?
Case 26 借金を負担することなく、自宅不動産を手放さなくてすむ方法
Case 27 遺言内容と異なる遺産分割を行うことは可能か
Case 28 遺産分割後、新たに遺産が発見された場合、遺産分割協議は無効か
Case 29 残された障がいを持つ子の生活を保障したい場合
Case 30 自分の死後の相続について承継人を指定したい場合
     
  ■相続手続きに関するページ■
相続
相続タイムスケジュール
遺言がある場合の手続
遺言がない場合の手続き(遺産分割)①相続人を確定する<誰が相続人になるのか>
遺言がない場合の手続き(遺産分割)②相続財産を確定する<何を相続するのか>
遺言がない場合の手続き(遺産分割)③具体的相続分を確定する<どれだけ相続するのか>
遺言がない場合の手続き(遺産分割)④遺産の分割方法
遺言がない場合の手続き(遺産分割)⑤借金がある場合の相続方法
遺言がない場合の手続き(遺産分割)⑥遺産分割がまとまらない場合
相続放棄、限定承認
相続登記・遺産整理業務
亡くなられた方に関する事務手続き
こんな場合はどうする?ケースで見る相続
相続税の計算方法
相続の基礎知識①相続人の順位と法定相続分
相続の基礎知識②相続の対象となる財産  
相続の基礎知識③相続財産の分割方法
相続の基礎知識④遺留分
相続の基礎知識⑤特別受益と寄与分
 

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